〜 第 1 3 6 回 大 会 〜


第136回 芦田恵之助先生の実践に学ぶ授業の会 報告

 今回は、芦田教式を全校で実践されておられる城星学園小学校のご支援・ご協力で実現しました。
亀谷和廣校長先生はじめ教職員の皆様には、温かくお迎え頂き授業に集中することができました。
今年は、梅雨が早くに明け、猛暑になりました。
冷房設備の完備した特別教室での授業でしたので、登壇者も汗をかかずに済んだことでしょう。(冷汗は?)

 午前4時間、午後1時間の授業でした。私が参加しはじめた70回大会以降で、午後の授業は初めてでした。暑いので昼休みの時間を長めにとって昼寝ができるような会もありました。2日で計10時間もの授業ができ、密度の濃い会になりました。1年から5年までそれぞれ2時間ずつの授業でした。第一次指導と第二次指導を1時間ずつ拝見することができました。1時間目の授業の修正を2時間目にどのようにするかも学ぶことができました。また、作文は記述と批正の1サイクルを参観できたことも、若い先生方には参考になったことと思います。授業参観の後、26日には、芦田先生の『七変化の教式』について講座がありました。質問もたくさん出て、指導法への理解も深まったのではないでしょうか。27日には、『作文の教式』について授業者が授業と絡めながら話してくれました。時間の都合で質問を受けることができなかったのは残念ですが、作文の授業の楽しさは伝わったように思います。

 《作文の授業 板書事項》  26日 記述指導         27日 批正指導

  後日、スナップ写真を掲載


 記述指導(一 〜 五 の指導過程) メモを参考に記すので抜け落ちているところがあります。

 一 文話 (作文を書こうという学級の雰囲気を醸し出すための時間 : 今回は、送らてきた作文の感想から入る)
 ・ 担任の先生から作文を送って頂いたので読んでみました。
   ◎・×などの記号が付いているでしょう。「◎は読んだ回数、・はちょと字が変かなという印、×はいらないという印」等を伝える。(板書)
 ・ 感心しました。よく考えて書いている。(考えて 板書)
 ・ いろいろな題で書いていました。(好きな教科、夏休み、習い事、鉄棒、喧嘩、仲良くなった、一年生にありがとう、うちのお母さん……)
   周りのことをよく見て考えている城星学園小学校のみなさんは、賢いなあと思う。
 二 文題発表
 ・ 今日書く作文の題を考えてきた人は、手を挙げてください。(3、4名挙手)
 ・ それでは、発表してください。
     水泳の記録会(きろくかい と板書)
 ・ どんな泳ぎ方をするのかな。(子どもと2、3 やり取りする)
 ・ 他には。
     将来(しょうらい と板書)
 ・ 何になるの。(やきゅうせんしゅ 小さく板書 2、3 やり取りする)
 ・ 次は。
     カブトムシ
   以下同様に板書する。
     花火 ゆめ すきな食べもの ハンバーグの作りかた
   最初の挙手の人数より、発表者が増えている。早く書きたいという雰囲気が生まれてきている。
 三 記述
 ・ 書いてもらいますが、書き間違えたときは(→は 板書)とすればよいです。書き忘れたら(<…)のようにして書けばよいです。
   大きな字で丁寧に書いてください。紙が足りなくなったら貰いに来てください。また、困ったことがあったら聞きに来てください。
 ・ 一行目に題を書いて、二行目に名前を書いてください。終わる5分前になったら知らせます。それでは、お願いします。

   教師は、教卓の左横に立って児童の様子を見ている。ときどき子どもと目が合うとニコリとされる。子どもはまた書き出す。                          講座での話
   @ 何もしないで子ども達に慈悲の目を送る。これは苦行ですが、沢庵石が動かないからよい漬物ができるのです。
   A 机間指導に入らない。子どもに任せるしかないと悟ることです。先生にいろいろ言われるとますます書けなくなるものです。
   B ○付けなどの内職をしない。これを放任主義あるいは監視主義(丸をつけながらときどき鋭い目を子どもに向ける)という。
 
 ・ ほとんどの子がすぐに書き始める。3名ほど、迷っている様子でしたが、最後の子も3分経過した頃には書き始める。
 ・ 追加の紙をもらいに来る子が、次々と出てくる。多い子は、5枚ももらいに来たようである。
   講座で原稿用紙の字数が少し少な過ぎたかもしれないと話す。10×12のA4の自作の特製用紙
 ・ 鉛筆の音しか聞こえない時間が流れる。
 四 自己批正
 ・ 5分前になりました。書いたものを読み直して、自分の書きたいことが書けたか調べてください。間違いがあったら直してください。
 五 提出
 ・ それでは、書き終った人から出してください。(子どもたちが教卓の所に集まってくる。一人ひとり丁寧に受け取る)
   講座で並び方を指示した方がよかったと自省を述べられる。(列毎に指示して持ってくるようにしている方もおられる)
 ・ 皆さんは友達思いです。まだ、書いている人のことを考えて静かに待てるからです。書いている人が慌てなくて済みますからね。
 ・ 今夜、一生懸命に読んで、明日書いた作文のことを話してあげます。

 批正指導(一 〜 五 の指導過程)

 一 総評(読んでの感想を話す時間 : 長所を話す。長所はあらゆる面から取り上げる。短所は技術面のみにする。)
 ・ 記号の説明(昨日と同様に ◎が四重になっている。◎の右上に・のついている人は後でお手伝いしてください。)
 ・ 見て考えて書いています。( で囲む 板書)
 ・ 漢字を使っている人が多い。(かー 板書)
 ・ 訳を書いている人がいる。(わー 考と で繋ぐ 板書)
 ・ カギ括弧が使われている。(「 」 板書)
 二 点呼(個評 : 力の弱い子を中心に読みっ取ったことを伝える。いつもそういう子ばかりだと子どもに気づかれるので教育的配慮をする。)
 ・ 呼名し、題を紹介しながらその子の書きたかったことを話す。(今回は、一回限りなので、どこかで全員を取り上げるようにされたようである。) 
   ○君は『テスラー』と、高級自動車のことを書いてくれました。(2、3やり取りをする)
   以下同様に
 三 優良文朗読(書いた子に読んでもらい、短評をつける。)
 ・ 今回は、『二点呼』をやりながら、その中で何名かに読んでもらう。皆の前で読みたくないという子が出てきたので、その子は点呼に変えていた。
 四 聴写(1名の作品を取り上げて細評する前に、教師が板書しながら読み、それを聞きながら児童は書く。これを作文が書けない子をなくす妙薬という。)
 ・ それでは、作文用紙と鉛筆を用意してください。先生が黒板に書きながら読みますので、聞きながら書いてください。
 ・ 黒板を見て書いてもよいが、先生の影で見えないこともあります。できるだけ聞きながら書いてください。
 ・ 一行目、一マス空けて、漢字で花火と書いてください。続けて、を見たよ、と書いてください。
 ・ 次の行、二マス空けて、〇〇と書いてください。(作者名を書く)
 ・ 次の行、一マス空けて、とってもたのしいよる。(これで1行が終わる)
 ・ 次は、一番上から、でした、丸。(このように、句読点も言いながら書き進める) 
   (ほぼ全員が、聞きながら書いている。城星学園小学校の2年生の書写力は確かなものである。)
 
 花火を見たよ                細評で取り上げた部分
   〇〇○○ 〇〇○            
 とてもたのしいよる              とてもたのしいよる
でした。
またいきたいなあ                「またいきたいなあ。」
とともだちといってい               。そうした
たら、さいごのさいご              たら、さいごのさいご 
の花火が
「パンパーン。」
となりました。さいご
の花火の色はわたしが                。 。 。 。
すきなむらさきでした。            すきなむらさきでした。
       自分の名前   

 五 細評
 ・ ○○さん、黒板の作文を読んでください。(元気よく、はっきりとした口調で読み終える。)
 ・ ○○さんは「花火を見た楽しさ」を書いてくれました。この前にも、いろいろ書いてありました。また、この続きも書いてありました。
   でも今日は、この原稿用紙一枚に入るように、この部分を書いて勉強することにしました。(長い場合には部分を書き出すこともある)
 ・ 二つに分けて…。(最初の一文と残りに二区分。前の部分に山形の括弧をつける。)
 ・ 後の方を二つに分けられるかな。(いろいろな意見が出る。最後に、…言っていた。そうしたら、… と二つに分ける) 
 ・ いいところを見つけてください。
     すきなむらさきでした。
 ・ 色がついていないところもよいですね。(花火の色は私が好きな紫色でした。と、花火の色は私が好きな紫でした。の二つを聞かせて確認)
 ・ 他にはないですか。
     とてもたのしいよるでした。
 ・ 楽しい夜だったと分かります。どこですか。
     とても
 ・ とても、をとってもにするともっと楽しいと感じますね。(小さい X書き加える。)
 ・ 「パンパーン。」とカギ括弧をつけています。カギ括弧あると、音はどうなるかな。
     ……
 ・ 先生には、大きく聞こえますが、どうですか。(頷く子あり)
 ・ 前の方に、「 」をつけた方がいいところがありますが、どこですか。
     またいきたいなあ。
 ・ またいきたいなあ、といいながら「 」を書き加える。(聴写の時に「 」が入るようにマスを空けておいた)
 ・ みんなで読んで終わります。            、

 教式での授業で育った子どもたちの力量が発揮された読みの指導と午後の講座については、後日掲載予定

 参観者の感想



芦田恵之助先生の実践に学ぶ授業の会要項



芦田恵之助先生の母校の兵庫県丹波市立竹田小学校の校長室に掲げられている言葉です。

芦田先生の教育観の根底をなすものです。

その芦田先生の正風を後世に残そうと鈴木佑治先生が公開授業の会・いずみ会を始められたのが1948年です。

授業を通して「子供も授業者も参観者も共に育つ実践の会」を今夏も開きます。


子供の自立を促し、わかる喜びと授業への集中力を育てる工夫を磨き合います。

授業者も安心でき、子供も安心できる学級経営のコツを学び合います。
初めての方も気軽にご参加ください。
国語の授業に悩んでいる方、楽しい国語の時間にしたいと考えている方の参加をお待ちしています 。
国語の授業ばかりか、専科の先生方も学ぶことが多いと感想を寄せておられます。
小学校教員必見の公開授業の会です。

宿泊で参加希望の方は、下記メールにご連絡ください。(定員20名)  1泊3食 1万5千円程度
E-mail izumikai100【at】hotmail.co.jp (【at】は@マークです)
通いで参加希望の方は、7月1日以降 上記にお申し込みください。
 
1.主 催   いずみ会  
2.協 力  城星学園小学校

3.会 場   城星学園小学校 多目的教室
          〒540-0004 大阪市中央区玉造2−23−26 TEL 06−6941−5977 FAX  06−6944−2662
                    最寄駅 大阪環状線 森ノ宮か玉造 徒歩10分
4.期 日   平成30年7月26日(木) 8時50分:授業開始 〜 7月27日(金) 講座終了:16時20分  
5.会 費    2,000円(資料代含)
6.内 容   午前は時間午後1時間の授業  その後は講座(読みの指導と作文指導)  教科書 教出(1年上)、東書(3年、4年上、6年)
  特 色   連続して2日間計10時間の公開授業をする会は …… 作文の記述・批正の両方の公開授業も ……

   教材      1年 だれが、たべたのでしょう               1校時( 8:50〜 9:35)
             2年 作文(記述・批正)                   2校時( 9:45〜10:30)
            3年 自然のかくし絵                      3校時(10:40〜11:25)
            5年 風切るつばさ                      4校時(11:30〜11:20)
            4年 詩を読もう(ふしぎ やかったなあ)          5校時(13:00〜13:45)
 
  ☆ 今日の授業について(講評)                            (14:00〜14:30)
     講座(1日目読みの指導 2日目作文指導 質疑応答)           (14:30〜16:20)

  ☆ 26日 18時〜20時 教育祭(懇親会) 宿泊されない方の参加も歓迎 申し込み(上記メールに)

  *  宿 舎 ホテルアウィーナ大阪(公立学校共済) 最寄駅 大阪環状線 鶴橋
          543-0031 大阪府大阪市天王寺区石ヶ辻町19-12  TEL06-6772-1441  FAX06-6772-1095

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